林業従事者の声

甲斐 博さん、裕子さん

クヌギの伐採地を地拵えする二人、時々声を掛け合ってお互いをフォローし合っているように見える。
3人の子どもを持つ甲斐さん夫妻は、森林組合の造林班として一緒に働いています。
林業の良いところは?という質問に「子育てに好都合な事です。」と即座に答える裕子さん。
理由は、学校の行事や急に子どもの体調が悪くなったとき、すぐに仕事を調整できるからだそうです。
5時には仕事を終えて子どもたちとゆっくり過ごせるのも林業者の幸せ。
夫婦の仲むつまじい笑顔にも納得できます。

山本 久留実さん

小柄で可愛い女性がパワーショベルの先に大きなハサミが付いたような重機、グラップルを操縦して太い木材を器用に積み上げていく。
久留実さんは地元企業の林産部門で主に伐採・集材現場で重機操作を担当している山ガール。
大学を卒業してすぐに「諸塚で暮らしたい」という目的から林業を選択。
始めは反対した母さんも、安全が確保された現場で、先輩たちの配慮のなかで充実した仕事ができている娘のようすを見て、今では応援してくれているそうです。
「母さんのお弁当が元気の元!」という久留実さんの将来の目標は、伐採や枝払い、玉切りを行う高性能機械のハーベスタを担当すること。
なんともたくましい、でもヘルメットを脱ぐととてもキュートな山ガールです。

山本 辰喜さん

諸塚出身で、一旦は村外に就職しましたが、5年前に村に戻り一般社団法人ウッドピア諸塚に入社し、森林整備や椎茸原木の搬出などに従事する日々。
「朝は早いけど残業はほとんどないので、趣味の和太鼓や小学生の頃から続けている剣道を諸塚の子ども達に指導する時間も十分にある。仕事でもプライベートでも体を思いっきり動かせて、気さくな先輩たちと楽しく仕事ができるし、消防団や青年団活動にも参加し充実した生活を送っている。夢は、林業を続けていくことです。」と語る山本さん。
ですが、本音はもうひとつ、「そろそろ結婚して諸塚で幸せな家庭を築くこと」なのでは?と思えるたくましい見た目とは対照的に優しくてシャイな林業青年です。

林業に生きる人たち、共通していたのは「余裕」ということ。

諸塚の木材は時間をかけて乾燥され、丁寧に加工されます。
加工に携わる人たちもまた、山で働く人と同様に、森や木に対する真摯な思いと、誇りを持って働いています。
森という自然の力を借りて、自分たちが世に送り出す木材が、その質や量においても国や人々の暮らしの屋台骨を支えている。諸塚の林業は誇りと自信に裏打ちされた産業なのです。